なぜ、ベジに? Why Vegetarian?

嘉利のマスターがベジタリアンになった訳…

マスター・友田勝也
マスター・友田勝也

自分は2013年の4月から、ほとんど完全にベジタリアンになりました。

「ほとんど」と付くのはなぜかというと、例えば動物性材料が少しだけ使われている食品を、知らずにうっかり食べてしまったりすることがあるからです。外出先でベジタリアン対応の飲食店が見つからないときに、魚のダシが使われていることを承知でお蕎麦屋さんに入ったりすることもあります。

 

「肉を食べることは、身体にいいことだ」という「定説」に疑問をもったのは、今から10年以上前、2001年頃のこと。その数年前に発症した「スギ花粉症」が次第にひどくなっていった時期です。

 

毎年2月下旬からゴールデンウィークくらいまで深刻な鼻炎が続き、鼻から始まって口の中や耳の中、目のあたりの粘膜まで炎症を起こし、仕事が手につかない状態になることもありました。

基本的に春は毎日コンディションが悪かったのですが、ある時、そんな中でも症状が軽い日と、かなり重い日があることに気が付きました。

風が強いときや、杉林の近くに出かけたときはその直後から鼻炎がひどくなるので、花粉の飛散量が症状を左右する大きな要因であることはわかっていたのですが、どうもそれとは別の原因があるようでした。

自分の行動パターンと花粉症の具合との関係をじっくり振り返ってみたところ、焼肉やしゃぶしゃぶなど肉類を多く含んだ食事をしたり、チーズやバターなどの乳製品をたっぷり摂取したときは、そのあと花粉症が悪化する傾向があることに思い至りました。特に焼肉やしゃぶしゃぶを腹いっぱい食べると花粉症がひどくなるだけでなく、それから2~3日はお腹の調子が悪く、身体全体が重い感じになるようでした。

 

「これは何かあるに違いない、肉や乳製品って、本当は身体に負担がかかる食べ物なんじゃないか?」

 

自分の身体の反応が教えてくれたこの気付きがきっかけで、動物性たんぱく質と人間の身体、とりわけ消化器官との関係をちょっと調べてみたところ、興味深い情報がすぐに見つかりました。それは、「肉、卵、魚、乳製品などを多く摂取すると、胃腸で完全に分解されることはなく、吸収もされないため、老廃物になって腸内に残留しやすい」という新しい研究結果に関する情報でした。

行き過ぎた肉食が原因で腸内に溜まった老廃物は腐敗しやすく、様々な毒素を発生し、腸内環境を悪化させるだけでなく、その一部が体内に吸収されてしまうという情報もありました。

さらには、ここ数十年のうちに日本で一般的になった肉食中心の食生活と、日本でアレルギー体質の人が増え続けているという事実には、何らかの因果関係があるのではないか、という説もありました。

 

このとき直感的に、「過度な肉食とアレルギー症状との間には、密接な関係があるに違いない」と思いました。そして、「肉食を減らしていけば、花粉症もいずれ良くなるんじゃないか」という独自の考え方を持つようになりました。

 

ただ、当時の自分はマスメディアの営業マンで、お客様や上司、同僚らと毎晩のように外食し、飲み歩いていましたから、肉食の習慣から抜け出すのに相当な時間がかかりました。なぜなら、日本で普通の飲食店に入って食事をする場合、肉や魚、卵や乳製品を食べないようにするのは至難の業だからです。ほとんどのメニューに動物性食材が使われているし、それこそが身体に良いことだという考え方が一般的だからなのでしょう。肉食をできるだけ避けようとする自分は、友人や仕事仲間から次第に「変わり者扱い」されるようになっていきました。

食生活に限らず、自分は趣味嗜好がユニークでしたから、「変わり者」として扱われてもあまり気にしないのですが、周囲から異質に思われるのが嫌いな人にとっては、相当な「修行」になるかも知れません(笑)。

 

10年以上の歳月をかけて、少しずつ少しずつ、動物性食材を摂取する機会を減らしていきました。7~8年は、肉類は食べないけれど魚介類は食べる、という状態を維持しました(海外ではそういう人を「シーフード・ベジタリアン」と呼ぶそうです)。

食生活を変えていくにつれて、花粉症はゆるやかに改善していき、直近の3年くらいは鼻炎薬を飲まなくても過ごせるようになりました。でも症状が全く消えるわけではありませんでした。鼻炎薬は使わないけれども、皮膚や粘膜の自然治癒力を高める波動を放射する、ユニークなセラミックス製品のお世話になったりして、完治にはなかなか至りませんでした。

 

そして2013年の春、とうとう自分は決心しました。

そうだ、肉類や乳製品だけでなく、魚介類も食べない、「正真正銘のベジタリアン」になろう。そして自分たちの店「オーガニックカフェ 嘉利」も、動物性食材を使用しない、ベジタリアンの店にしてしまおうと。

 

料理担当・かな代は、魚介類を使わない料理の開発に最初は苦労しましたが、1~2カ月ほどでベジタリアン料理の勘をつかんでいきました。自分は食生活を一気に変えたことによる渇望感はほとんどなく、すんなりとベジタリアンに変身することができました。

ただし、身体の方はそんなにすんなりと変化してはくれませんでした。

 

ベジタリアンになってからおよそ2カ月半が経過したころ、突然左足のくるぶし辺りの肌荒れが始まったかと思うと、あっという間にその面積が大きくなって、やがて左足の膝から下の皮膚が広範囲で炎症を起こしました。炎症は他の場所にも飛び火して、あちこちの皮膚がただれたり、ブヨブヨに腫れてしまったのです。見るも無残な状態で、一日中、得体の知れない液体が皮膚から染み出し、たまらないかゆみが続きました。

もしもあのとき病院に行っていたら、「原因不明の皮膚炎」として強烈なステロイド剤を投与されるか、場合によっては入院させられていたでしょう。でも自分は知っていました。これは食生活の「改善」に伴う「好転反応」であり、いわゆる「デトックス(毒出し)」なのだと。

 

「デトックス」は1カ月あまりに及び、あまりの苦しさで意識が不安定になることもありました。おそらく、毎日革靴を履いてスーツを着て、決まった時間に満員電車に乗り、一定時間以上勤務しなければいけないサラリーマン時代だったら、あの「デトックス」の苦しみには耐えられなかったでしょう。辛いときはすぐに横になって休むことができる「自宅兼店舗」という職場環境と、どんな状況でも前向きなマインドをキープできるパートナー、かな代の存在に助けられて、なんとか乗り越えることができました。

(食生活を改善するのは良いことですが、やはり徐々に変えていった方が無難なのかも知れません。これからベジタリアンになろうとする方は参考になさってください)

 

いま自分はほぼ完全なベジタリアンとして、何事もなかったかのように飄々と暮らしています。

食事がすべて植物性ですから、大食いしてしまっても体重の変化は基本的にありません。食物繊維がすみやかに身体の外に出てしまうからです。

好きだった「焼き魚料理」は、魚独特の臭みが気になって食欲がわきません。以前は「良い香り」だったはずの魚臭さが、不快なものになってしまったのです。かつお節の香りでさえネガティブなものに感じられるようになりました。人間、変われば変わるものです。

 

味覚とか嗅覚は以前より鋭くなってきたと思います。そして、いわゆる「第六感」も活性化してきているようです。誰かに詳しく説明されなくても、直感で物事の本質を見抜き、感じる力が強くなっているような気がするのです。大きなお寺の修行僧が精進料理(植物性のみの食事)を食べる理由の一つは、「第六感」とか直感力といったものを鋭敏にするためなのかも知れません。

 

そして、肝心の花粉症ですが、2014年の春も、残念ながら「完治」には至りませんでした。3月下旬からゆるやかに鼻炎が始まり、ひどいくしゃみを連発してしまう日も発生しました。でも、昔に比べたらはるかに症状は軽くなっています。鼻水やくしゃみも身体の自律的な浄化作用ですから、もちろんこれを薬で止めることはしません。どんどん身体はきれいになっているのだと思います。そしておそらく同時進行的に、精神的な浄化も進んでいると感じています。

肉や魚などの動物性食品を食べなくても、人は心身ともに健康でいられることを、僕の身体を使ってこれからも実証していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします!